知っておけば最適なオイル選びに役立つ

潤滑油の予備知識

鉱物油ベースオイルの精製過程          

原油 沈殿・濾過 常圧蒸留 減圧蒸留 溶剤添加・水素分解不純物除去 冷却分離 鉱物ベース


ベースオイルの性能特性

熱安定性 粘度安定性 低温性能 抗揮発性 疎水性 溶解性 シール材相性 金属吸着
Gr.1 鉱物油 ★★ ★★★ ★★★
Gr.3 HVI ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★ ★★★★
Gr.4 PAO ★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★ ★★ ★★収縮
Gr.5 エステル
(ポリオール)
★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★ ★★★★★ ★★膨潤


添加剤の種類と役割

ひとくちに「添加剤」といっても、その用途や種類は千差万別です。
ここでは、エンジンオイルやギヤオイルなど、パワーユニット用のオイルに用いられる添加剤について
その種類と役割、代表的な成分について順番に挙げてみます。

種類 役割 代表的な成分
 1.酸化防止剤 オイルの酸化による劣化を防止します。
具体的には、ラジカル基の不活性化などにより酸化反応を抑制します。
ZnDTP(=ジチオリン酸亜鉛)
フェノール類、アミン類、硫化物など
 2.粘度指数向上剤 温度による粘度変化を小さくします。
具体的には、高温状態でポリマーの溶媒和が進んで比粘度が大きくなるようにします。
ポリメタクリレート、エチレン-プロピレン重合物、
スチレン-ブタジエン重合物、
ポリオレフィン系など
 3.摩擦調整剤 (=FM,Friction Modifier)
摺動面のフリクションを低減します。
具体的には、金属表面に吸着したり、あるいは反応するなどして、摩擦係数の小さな皮膜を形成するものです。
脂肪酸、脂肪酸エステル、リン酸エステル、
二硫化モリブデン、
モリブデンのジチオリン酸塩など
 4.清浄分散剤 不溶解分のスラッジ化を防ぎます。
具体的には、燃焼ガスによる酸化生成物を中和したり、高分子重合体を可溶化させたりして、スラッジの抑制と分散をはかります。
清浄剤・・・Ca,Mgなど金属系化合物
(スルホネート類など)
分散剤・・・こはく酸アミド、こはく酸エステル、
アミン類など
 5.流動点降下剤 低温時のワックス分の凝固を防ぎます。
具体的には、ワックスの表面に吸着し、結晶構造を変え、その成長(=析出化)を防ぎます。
ポリメタクリレート、アルキルナフタレン、
フェノール類など
 6.極圧剤 接触荷重の高い摺動部の磨耗を防ぎます。
具体的には金属の表面に高荷重に耐える摩擦係数の小さな皮膜を作り、メタルコンタクトを防ぎます。
ジチオリン酸亜鉛、リン酸エステル、
硫黄化合物
 7.消泡剤 オイルの表面張力を下げて、泡を壊れ易くします。
具体的には、泡の膜の表面張力を下げたり、あるいは泡の中に取り込まれることによって泡膜を破断させます。
アルコール、
シリコン(ジメチルシロキサン)
 8.防錆剤 金属がサビてしまうのを防ぎます。
具体的には、酸を中和したり金属表面に吸着皮膜を作ったりして、酸素や水分との接触を断ちます。
アルカリ土類金属の塩、
スルホン酸類(アルカリ)
アルコール、アミン類
 9.腐食防止剤 金属の表面に保護膜を形成して、腐食を防ぎます。
具体的には、金属の酸化触媒反応を防ぐことによる腐食防止もあります。
ジチオリン酸亜鉛、亜鉛、
S-P化合物など
10.油性剤 金属表面に潤滑皮膜を作ります。
具体的には、金属の摩擦面に吸着されて油膜を作ります。
エステル、アルコール、油脂、有機酸など


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